2026年 短歌

2月  地球を

138億年の前に出来たという宇宙にありて地球の春を

信号を待つ間の太陽光線のこの熱量を全身に受く

長い長い宇宙の歴史に連なりて最新百年その内にをり

人類を地球に生きるその程を計算してをり終りに向けて

生きている如何に生くるかしっかりと見定めゆかむ自身のことを

南半球へ行きにしことよ四十五日間大きな船に乗りてをりき

地球なる赤道を越え南半球へ海面に浮ぶ布袋葵に水色の花

少しづつ月は日毎に円くなりただそれだけのそれだけが良し

キンポウゲ科の白色の花しんに紫色を蓮花升麻の神々しさよ

父と母とに伝へるためにはるばると太平洋にのりだしゆきぬ

父と母に私の経験伝ふためおのが範囲を越えてゆきたり

地球軸の反対側へとゆきゆきぬそしてアルゼンチン国に辿り着きたり

満月が地球の影にかくるるをこのほの暗さにやすらぎにつつ

いつもいつも地球単位に遠く住む由野と一緒にいるこの日々を

かすかなり聞こえくるものそら耳かエンジェルトランペットの白い花

1月  儚む

カタカゴ・ヤマスゲ・ワスレグサ・ヒメユリ…ユリ科私の一世をここにつなぐ

人工の明りなくしてただに闇氷河の軋む音聞こえくる

まん円の月の明りの届きゐる一万メートル上空飛行機の窓

ゆらゆらとゆらぎをり太陽光太陽の出来し次第をしのぶ

方角は確かではないまた会はむことのはかなさ残りをりつつ

遠く遠く丸き地球を行き来せりセリーナ・アラウス・ペラルタラモス・デ・ピロバーノ

バルセロナより来たりし人とスペイン語ありたちまち親し

スペイン語ポルトガル語に紛るるを異にせざりし長き年月

極端に嘆き哀しむタンゴのなかにしばらく入りぬ

朝の陽に勝鬨橋を午後の陽は佃大橋を描き居たりひとつ日

ゆらゆらと墨田川の川面にて太陽沈みゆきゆく次第

三河湾の磯砂辺りに育ちにき地球半周の先ブェノスアイレス親し

良き日々ありきセリーナさんとモレノ氷河の終着地点

父上を母上をまた忍びをりはやゆかむとする秋の一つ日

彫りあげし雲中菩薩に千年の木目浮き見ゆるこの朝


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